アームレスト

クラシックギターを弾かれる方にはお馴染みかもしれませんが、アームレストというギターアクセサリがあります。アームレストを導入する目的には以下のようなものがあります。

(1)塗装劣化防止

クラシックギターでは古くからシェラック塗装されているものが多いですが、シェラック塗装は夏場など指や腕についた汗に弱く、塗装を劣化させてしまいます。アームレストがあると腕がボディーに直接接触しないのでそれを防止できます。

(2)TOPの自由振動を阻害しない

ギターを弾く際はボディーに腕を乗せるため、厳密にはTOPの自由振動を阻害してしまいます。いわゆる「鳴り」を阻害しにないようにアームレストが有効と考えられています。

(3)演奏し易さ

文字通り、ギターの角に腕のせた時に腕が痛くならない、跡がつかない等、角を丸めて演奏を楽にする役割があります。

これまでのアームレストは、どちらかと言えば、シェラック塗装の多いクラシックギターが主でしたが、 最近ではアコースティックギターでも、米国Taylor社や個人制作のギター等で多く見かけるようになりました。またタイプも、クラシックギターでは主として後付けタイプ、すなわち、ギター本体とは別にアクセサリーとして取り付けるタイプのものが多いですが、アコースティックギターでは後付けとともに、最初から組み込まれているエンベディッド(embedded) タイプもよく見かけるようになりました。

アコースティックギターの場合、シェラック塗装というよりはラッカー塗装、あるいは、ウレタン塗装の方が主であるため、エンベディッドタイプ・アームレスト導入の目的は、上記目的のうち(2)、(3)、あるいは、デザイン性と言えます。また、厳密にいえば、アームレストを後付けするとギター全体の共振点が変わりますので、ウルフトーンの位置も変わります。その点エンベディッドタイプではウルフトーンの位置が変わらないというメリットがあります。

当工房でも、 高級機への導入が目立ち始めてい るエンベディッドタイプを現在制作中です。標準品には装着されませんが、オプションとしてご相談を受け賜ることは可能です。

 


上の写真は、黒蝶貝のセルロイドバインディングと同じ材料でアームレストを制作しています。ちなみに、TOPはエンゲルマンスプルース、Side/Backはホンジュラスローズウッドです。Backのホンジュラスローズの木目が何とも美しいです。また、ロゼッタも石垣模様を模したオリジナルデザインです。